今期はずいぶん遅い更新となりました。
なんとか元気でやっております。
更新が遅いのは雪が降るのが遅かったのもあるんですが(いつまでも外で仕事してしまう)
実はこんなものを作っているのです。

そう、自転車のレストア。全くの趣味であり道楽です。
写真は2回目の塗装の様子。下地の防錆塗料なので灰色です。
相方が子供の頃乗ってた物で、製造から約40年経過。
10年前の時点で、すでに物置に放置されていました。
ちなみに元の状態はこんな感じ。
こんなの捨ててあっても誰も持っていかないレベル。

車体はほぼ完全分解。
塗料は全部剥がして研磨と脱脂、そこに防錆塗料を3層重ね、さらに本塗り2回。
普通の自転車ではそこまではやらない。
詳しいことは今後書きますが、ペダルや足回り、駆動系とブレーキも
現代の事情に合わせて変更しています。
自転車をバラして思い出すのは、昔ネット上でお付き合いのあった漫画家さんのこと。
その方は大層な自転車マニアの上にかなりの懐古主義で、あまりにも細部にこだわりすぎる上に作中で思想的なものを語り始めてしまったので、さすがに面倒見きれなくてこちらからお付き合いをやめさせていただきました。
自転車の良さを語るのは大いに結構ですけど、自分の思想を語るのに自転車をダシに使う方はこちらから願い下げであります。
今まで黙ってきましたが、これは以前のサイトを店じまいした理由のひとつであります。
自転車って、そういうものではないんです。
もっと身近でもっとシンプルで、いわば空気のような、自由な存在。
僕にとっては自由そのものなんです。圧倒的な自由。
スポーツ車にも実用車にもそれぞれの良さや美しさがあって、それを扱う販売店にもそれぞれの個性や良さがある。
あれはダメ、これもダメ、こうあるべき、ではなくて、あれもいいね、これもいいね、いろいろな考えがあるよね、みたいな自由さが好き。
古い自転車の修理っていうと「形式美こそ最重要、往年の姿を完全復元すべし」みたいなことを言う人が必ず出てくるんですが、細かいところにこだわると必ず本質を見失います。
何よりも、安全に走って曲がって止まることが最重要で、そこに現代の事情や地域の事情、個人の好みに見合ったアレンジが必要になります。
江戸時代から代々続く寿司屋や蕎麦屋や佃煮屋にも同じことが言えます。
どんな名店でもその時代に生きる人の味覚に合わせてレシピの細かな変更は必ずやっているもので、それがないと長い間生き残ることはできません。
僕自身にもこだわりというか、思想的なものはあります。
安全性と汎用性のため、機能が同等以上なら可能な限り新品に差し替え、軽い部品に交換もします。
場合によってはフレームを溶接して補強もやりますし、ネジ1本でも更新できるものは全て更新します。
しかしそれらは全て乗りやすさ、扱いやすさと安全のためであって、個人の思想を押し売りする意図はない。
この先も長く安心して乗り続けられる、国内どこでも代わりの部品を調達できる仕様が大事なのです。
博物館や床の間に飾るのなら話は別ですが、往年の姿を完全復元したところで乗りにくく危なければレストアする意味はないです。
レストア中の自転車、この原稿を書いてる現在はほぼ完成形の仮組み状態で、倉庫にぶら下がってます。
完成品の披露はまたの機会に。